Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あざらしとう
海豹島
久生 十蘭
Lisez 海豹島 (あざらしとう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 311 caractères · 48 écrans
狭山の悲嘆と狼狽ぶりはめざましいばかりで、ありったけの毛布と襤褸で膃肭獣を包み、人間にでもものをいうようにやさしい言葉をかけながら、錯乱したように膃肭獣の背中をさすりつづけていたが、膃肭獣はだんだんに弱って唸声もあげないようになり、呼吸をするたびに背筋が大きく波うち、切なさそうに手足の鰭で床を打った。
狭山は紫がかった赤い頬に涙を伝わらせ、膃肭獣がするように両手で胸を打って、しゃくりあげて泣いていたが、自由に曲がらぬ足をうしろに突きだし、両手を使って物狂わしく膃肭獣のまわりを匍いだした。しばらくの間、うそうそとよろめきまわっていたが、膃肭獣を腕の中に抱えこむと、突然、甲高い声で笑った。眼は狂暴な色を帯びて異様に輝き、首は発揚性昂奮ではげしく前後左右に揺れている。氷と岩で畳まれた孤島の一軒しかない小屋の中に、私は躁暴狂になりかけている巨人のような男と二人きりでいる。私の境遇はすこぶる危険なものになってきた。
小屋の外にはこの世の終りのような物凄い朔風が吹き荒れ、零下廿度の凛烈たる寒気が大地を凍りつかしている。ものの十分と立っているわけにはいくまい。