Classiques japonais avec furigana
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うんのじゅうざはいせんにっき
海野十三敗戦日記
海野 十三
Lisez 海野十三敗戦日記 (うんのじゅうざはいせんにっき) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 83 094 caractères · 167 écrans
そのうちB29の爆音が近づいて来る。「そらB公だ」と空を仰ぐが見えない。そのうちに遠ざかっていった。しばらくして、また爆音が近づく。「単発だ。味方機だよ」と誰やらが呟(つぶや)く。もうすっかり耳の訓練の出来ている都民たちだ。
電車はまだこない。乗客たちは待ちあぐんで皆ホームに腰を下ろし、足をレールの方へ出し腰を据えた。
夜気が冷えびえと頬のあたりへ忍びよる。太子堂の焼残った教会の塔が浮かんで見える。月がようやく東の空にのぼりはじめたらしい。夜空は大分明かるさを増した。
七月三十日
◯昨夜は天竜川口で、敵米艦隊の艦砲射撃がかなりあったらしい。
◯きょうは早暁から艦載機飛来。夕方に終ったかと思ったが、夜に入っても三十機ばかり押しよせた。
八月九日(その一)
◯去る八月六日午前八時過ぎ、広島へ侵入したB29少数機は、新型爆弾を投下し、相当の被害を見たと大本営発表があった。これは落下傘をつけたもので、五、六百メートル上空で信管が働き、爆発する。非常に大きな音を発し、垂直風圧が地上のものに対して働くばかりか、熱線を発して灼(や)く。日本家屋は倒壊し、それによる被害者は少なくなかった。