Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

Lisez 深夜の市長 (しんやのしちょう) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 109 982 caractères · 220 écrans

Aozora Bunko

僕は妙な事件から、妙な老人に会って、それからまた妙なことを頼まれて、なんだか夢に夢を見ているような気持になってきた。

僕は外面の気配に聞き耳をたてながら、

「まだ出てゆくのは危いですね」

というと、老人は、

「そうさなあ、――」

といって、特徴のある小鼻を左右から拇指と人指し指とで摘んでスーッと先の方へ引張った。さっきから見ていると、老人はよくそんな動作をやってみせた。この寒いのに汗でも小鼻の脇についているのかと思ったが、そうではなくて、これは「深夜の市長」どのの一つの癖でもあり、且つ唯一の娯楽でもあるらしく思われた。

「それでは……」

と云いかけた途端に、遠くの方で低くサイレンの唸り声が聞えた。

――火事かな!

と、考えている遑に、そのサイレンはどんどんこっちへ近づいて来た。紛れもなく出火らしい。

「ほう、時も時……」

と呟いて、老人は幕の外へ匍い出した。すると何者かが、バタバタとこっちへ駈けつけてくる気配だ。僕はハッとなって、思わず土窟の片隅に小さく縮まった。

「市長さん、遅れまして何とも申訳ござんせん」と、跫音がピタリと止ると、入れ代って脳天より出るような声、「只今火を発しましたるは、これより南へ二丁ほど先、横川橋は四丁目十六番地に所在致しまする油倉庫にござりまする。