Classiques japonais avec furigana
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ぼうふううにおわったいちにち
清風荘事件 他8編
松本 泰
Lisez 清風荘事件 他8編 (ぼうふううにおわったいちにち) de 松本 泰 (まつもとたい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 532 caractères · 43 écrans
「おお気味が悪い」
蔦江は肩を竦めた。
「だけれど、みのりさんはどうしてお店へなんかいらしったのでしょう?」
信子は腑に落ちないらしく言った。
人々は顔を見合わせた。しばらくしてみのりは、
「わたしは夢を見て、寝惚けてこんなところへ来てしまったの。そして、だれかに突き飛ばされて気がつきましたのよ。けれども、それも夢かもしれませんわ」
と、初めて唇を開いた。
「ああ、そうかもしれない。とにかく風邪を引くといけないから、おまえは部屋へ帰ってお寝み。みなも早く寝たほうがいい。……べつだん何を盗まれたというわけじゃあないから、だれにも言わないほうがいい。警察へ聞こえて調べに来られたりすると、店の邪魔になるからね。さあ、もう一度よく戸締りを検めて寝るとしよう」
と、主人は言った。
三人の女たちは押し合うようにして、狭い階段を上がっていった。
「かわいそうにね、みのりさんは波瑠子さんのことを思って見に来たのよ」
「波瑠子さんは、本気にもう店へ帰らないつもりなのかしら」
「きっと帰らないでしょう。わたしに荷物を親戚へ送ってくれなんて、置き手紙をしていきましたもの」
と、信子が言った。