Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しぶやけのしそ

渋谷家の始祖

宮本 百合子

Lisez 渋谷家の始祖 (しぶやけのしそ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 023 caractères · 133 écrans

Aozora Bunko

生れながら与えられた、際立った語学の才と、文才は、それ等の有ることは事実でも、「今日」とは何の連絡がない。言葉を換えていえば、正隆は、自分の持つ才能を自覚するから、その発揮を本能的に希望するので、その才能の方向が暗示する名誉が、自ずと産む生活上の影響などは、問題の中には入っていなかった。

正隆の場合では、かような心持の持つ、二様の力の、ただ消極のみが、感化を与えていた。仕事の純粋さに対する希望ではない。生活そのものの弛緩が、彼の魂の四隅を、確(しっ)かりと釘づけにしていたのである。

二

何事かと思わせるような歓迎に抱き取られて、帰京してからも、正隆は、何を思い煩うこともないらしく見えた。

母未亡人に金を貰って外泊をしたり、時には涼風に、長めな髪を嬲(なぶ)らせながら、招魂社の池の辺で、亀の子の甲羅を眺めたりしながら、正隆は悠然と、生活の戸口に彷徨していたのである。

けれども、母未亡人は、正隆ほど安閑とはしていなかった。

瞳よりも可愛い、唇よりもいとおしい正隆を、その美貌に於て誇る未亡人は、また、彼の栄達に就て、焦慮せずにはいられない。