Classiques japonais avec furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lisez 渡良瀬川 (わたらせがわ) de 大鹿 卓 (おおしかたく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 280 528 caractères · 557 écrans
畏多いことだ」
正造は語尾をふるわせて簷先へ眼を放った。夕闇の中に桐の黄葉がカサカサと鳴っていた。しばらくこの沈黙ののち、きちんと膝を折ってかしこまっている三人をふりかえって、
「諸君はこれから飯を炊くのだろう、すまんがわしも馳走になる。例によっていつもの貧乏だが酒代ぐらいは持っている。誰か徳利をさげてひと走りしてもらいたい」
田村義重郎が起って「例によって柳川鍋も註文してきますか」
山田が庭石の上にもち出した七輪に枯枝をくべて破れ団扇でバタバタとあおり、江森はランプのほやを掃除して点燈する。そのうちに田村が貧乏徳利をさげてかえって来た。追いかけて註文の柳川鍋がとどく。机をランプの下にすえてたちまちささやかな酒宴がはじまった。正造は三人の盃に交互に酌をしてやりつつその顔をまじまじ眺め、若いものたちとこうして飲むのがいかにも楽しいという様子だった。
「先生、どうしたんです。梟が驚いたような目をして」山田が無遠慮に諧謔を期待する顔付でたずねた。
「いや、わしは諸君たちのような若い人たちがしっかりやって、これからの日本を改良し進歩させてくれるかと思うて頼母しくて仕方なく、失礼だが諸君の顔を眺めていたところだ」