Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Lisez 渡良瀬川 (わたらせがわ) de 大鹿 卓 (おおしかたく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 280 528 caractères · 557 écrans

Aozora Bunko

永島は内心のよろこびを抑えながらつつましく答えた。「誰しも監獄が苦しくない者はないでしょうが、私はただ神を信じ、神の御心にすべてを委しているので、心が平安なのです。信仰は献身することであります。他の人々は自分を活かそうとするから、そこに悩みが生じてきます」

「私は家へ帰ってお前のことを話したことがある。私の担当の監房に、毎日手紙を書いては外の者に信仰をすすめていた男がある。そういって、お前の日常の様子なども話したところが、女房の奴も感心して信仰というものにそれほどの力があるものなら、一度話を聴いて見ろというのだが……」

看守はやや羞むような目付でそんなことまでいった。それが機縁となって、彼は受持時間になるといつも独房の前へきて、永島から信仰の話を聴くようになった。永島はまた、自分に伝道ができるかどうか、一つの試練をうけているのだというほどの気持で、貧しいながら自分の信仰を語って倦まなかった。

そのうちに被告六十八名の予審もようやく終結して、七月九日に、水谷判事の名で予審終結決定書が発表された。永島たちのように早くから入監させられた者は、ほとんど半年振りで、罪状の有無が判定されたのであった。