Classiques japonais avec furigana
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ゆなのたましい
湯女の魂
泉 鏡花
Lisez 湯女の魂 (ゆなのたましい) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 936 caractères · 55 écrans
さてこれは小宮山良介という学生が、一夏北陸道を漫遊しました時、越中の国の小川という温泉から湯女の魂を託って、遥々東京まで持って参ったというお話。
越中に泊と云って、家数千軒ばかり、ちょっと繁昌な町があります。伏木から汽船に乗りますと、富山の岩瀬、四日市、魚津、泊となって、それから糸魚川、関、親不知、五智を通って、直江津へ出るのであります。
小宮山はその日、富山を朝立、この泊の町に着いたのは、午後三時半頃。繁昌な処と申しながら、街道が一条海に添っておりますばかり、裏町、横町などと、謂ってもないのであります、その町の半頃のと有る茶店へ、草臥れた足を休めました。
二
渋茶を喫しながら、四辺を見る。街道の景色、また格別でございまして、今は駅路の鈴の音こそ聞えませぬが、馬、車、処の人々、本願寺詣の行者の類、これに豆腐屋、魚屋、郵便配達などが交って往来引きも切らず、「早稲の香や別け入る右は有磯海」という芭蕉の句も、この辺という名代の荒海、ここを三十噸、乃至五十噸の越後丸、観音丸などと云うのが、入れ違いまする煙の色も荒海を乗越すためか一際濃く、且つ勇ましい。