Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おぼるるもの
溺るるもの
豊島 与志雄
Lisez 溺るるもの (おぼるるもの) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 690 caractères · 36 écrans
用があって口を利く時にも、皆声を低めた。時がたてば書物が埃に埋もれるように、彼等の声も沈黙のうちに埋もれる。私は自分の声がだんだん低くなるのに気付いて、びっくりしたことがあった。扉の向うには、更に薄暗い室に、書物が一杯並んでいた。その表紙と目次とを調べて、カードを整理するのである。私の洋服の織目には、書物の埃がたまり、機械的に働かせる頭には、白い雲脂がたまっている。毎日午前九時から午後四時まで、月給百円……。そして家には、母と妻と娘、それから夕食後、生活のための飜訳の仕事……。せめて、多少の心酔か興味かを以て、その飜訳が出来たなら、或は多少の学術的研究心を以て、図書館の仕事が出来たなら……と私は幾度思ったか知れない。然し、下っ端の図書館員の仕事はいつも機械的であり、あてがわれるままを甘受する飜訳はいつも機械的であった。それも生活のためだ。だがそのために、生活そのものまで、いつしか機械的になって、やがては油が切れようとしている。――窓から床までの光の角※(「土へん+壽」、第3水準1-15-67)を、私は珍らしく眼を輝かして眺めた。
汚水の淀んでる掘割と寂しい工場とは、図書館の中の佗びしい空気を私に思わした。