Classiques japonais avec furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lisez 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 395 caractères · 263 écrans
それに、この薄暗い一画では、皮膚の色がさだかではないのですから、永らく僕らは、この白い帯裏の符号にあざむかれてきました。そして、あの悪鬼は、人影がなくなるまでここに隠れていて誰もいなくなると、今度は、潜望鏡を利用して外に脱け出ていたのです。さあ、夫人、機関室の扉を開いて……」
と云われて、胸をときめかしたウルリーケが、扉を開いたとき、咄嗟の驚愕に彼女はふらふらと蹌いた。
そこには、梁骨に紐を吊して、ふんわりとした振子のようなものが、揺れていた。ああ、なんとこの事件の艇長フォン・エッセンはウルリーケの一人娘朝枝だったのである。
法水は、波打つウルリーケの肩に、やさしげな手を置いて、
「しかし、どうして僕が、朝枝を犯人と知ったでしょうか。それはほかならぬ、アマリリスの鉢だったのです。
だいたい、健全者の夢は妄想的であり、神経病者の夢は、反対に、健全な内容を持っていると云われるのですが、もし両者の醒と夢が一致したとすれば、それには、一つの共通した要素があると云えましょう。それで、貴女の夢と、神経病者朝枝の偏執とが一致したのですが、あの、蕾が開かずにいてくれたら――という願望は、つまり云うと、瓣がダラリと垂れる形で、油絵の中の、唇に懼れられていたそれが当るのです。