Classiques japonais avec furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lisez 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 395 caractères · 263 écrans
私はあの前夜に慌しい別れを聴かせられたとき、その時は別離の悲しみよりか、かえって、あの美しい幻に魅せられてしまいましたわ。
あの蒼い広々とした自由の海、その上で結ぶ武人の浪漫主義の夢――。まあ貴方は、艇を三檣の快走艇にお仕立てになって……、しかもそれには、『鷹の城』という古風な名前をおつけになったではございませんか。
ああそれは、王立カリンティアン快走艇倶楽部員としての、面目だったのでしょうか。いいえいいえ、私はけっしてそうとは信じません。
きっと貴方は、最後の悲劇を詩の光輪で飾りたかったに違いありませんわ。そして、しめやかな通夜を他目に見て――俺は、生活と夢を一致させるために死んだのだ――とおっしゃりたかったに相違ありませんわ。
そうして、その翌朝一九一六年四月十一日に、その日新しく生れ変った潜航艇『鷹の城』は、朝まだきの闇を潜り、トリエステをとうとう脱け出してしまったのでした。あの時すぐに始まった朝やけが、ちょうどこのようでございましたわねえ」
その時、水平線がみるみる脹れ上がって、美しい暁の息吹が始まった。波は金色のうねりを立てて散光を彼女の顔に反射した。