Classiques japonais avec furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lisez 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 395 caractères · 263 écrans
で、聴くところによると、その男の幽閉は一九一八年から始まっていて、最初はグラーツの市街を、身体中に薔薇と蔦とを纏い、まるで痴呆か乞食としか思われぬ、異様な風体で徘徊していたというそうなのです。
しかし、すでに海底深く埋もれているはずの艇長が、どうして、故国に姿を現わし得ましょうや。
まさに左様、艇長フォン・エッセン男爵の墓は、東経一六〇度二分北緯五十二度六分――そこに、いまも眠りつづけているのです。
そうして、ハプスブルグ家の王系は、彼の死とともに絶えたのですが、それを再び、栄光のうちに蘇らせようとしても何事もなし得ず、今や戦史と系譜の覇者は、二つながらに埋もれゆこうとしているのです」
老人の悲痛な言葉が最後で追憶が終り、夫人は海に花環を投げた。
そして、一同は打ち連れ立って、岬を陸の方に歩みはじめたのであるが、艇長フォン・エッセンの死に対する疑惑は、いまやまったく錯綜たるものに化してしまった。
一同は、奇怪な恐怖に駆られて、夢の中をさ迷い歩くような惑乱を感じていたのである。わけても、その得体の知れない蠢動のようなものは、四人の盲人に、はっきりと認められた。