Classiques japonais avec furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lisez 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 395 caractères · 263 écrans
そう云って、検事が指差したところを見ると、その前後二様の流血で作された形が、なんとなく卍に似ていて、そこに真紅の表章が表われているように思われたからである。
この暗い神秘的な事件の蔭には、その潤色から云っても、迷信深い犯人の見栄を欠いてはならないのではないか。
しかし、法水は無言のまま死体に眼を落した。
八住衡吉は、肩章のついたダブダブの制服を着、暑さに釦を外していたが、顔にはほとんど表情がなかった。
強直はすでに全身に発していて、右手を胸のあたりで酷たらしげに握りしめ、右膝を立てたところは俯伏しているせいか、延ばした左足が太い尾のように見えて、それには、巨きな爬蟲の姿が連想されてくる。
創は心臓のいくぶん上方で、おそらく上行大動脈を切断しているものと思われたが、円形の何か金属らしい、径一糎ほどの刺傷だった。
そして、その一帯には、砕けた検圧計の水銀が一面に飛散っていて、それを見ると、最初一撃を喰らうと同時に、検圧計を掴んだのが、ほとんど反射的だったらしい。そして、握ったままくるりと一廻転して、引きちぎった検圧計もろとも、背後に倒れたのではないかと推断された。