Classiques japonais avec furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lisez 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 395 caractères · 263 écrans
しかし、その眼を転じて、法水を見ると、そこにはいつも変らぬ、鉄壁のような信念が燃えているのであるから、いよいよもって、その心理劇の正体が朦朧としてしまい、知りつつ――そこを迷路と承知しながらも、検事は足を引き抜くことができなくなってしまうのだった。
やがて、ウルリーケは家の中に去ってしまったが、検事だけはひとり残って、ぼんやりと海景を眺め暮していた。それは、法水が持ち出した混沌画の魅力に圧せられて、彼は模索の糸を、絶つことができなかったからである。
――ああ法水がキッパリと云い切った態度からは、毫もいつものように術策や、詭計らしい匂いが感ぜられなかった。
のみならず、彼の神経といえば、それこそ五浬先の落ち櫂さえも見遁さぬという、潜望鏡のそれよりも鋭敏ではないか。
そうすると、事によったら、彼の眼に映じたものは、生きながら消え失せて、「鷹の城」の悪霊と呼ばれるシュテッヘ大尉ではなかったか。
それとも、まだ名も姿も知られていない何者かが、しかも帆桁は朽ち船員は死に絶えても、嵐と凪を越え、七つの海を漂浪い行くと云われるのだが、その身は生とも死ともつかず、永劫の呪縛にくくられている幽霊船長と――きしみ合う二つの車輪、まさに幻想と現実とが、触れ合おうとする空怖ろしさ、またそれを縫ってシュテッヘの幻が、見もせぬに跳び