Classiques japonais avec furigana
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らどうせんせい
潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集
谷崎 潤一郎
Lisez 潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集 (らどうせんせい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 093 caractères · 33 écrans
が、足に就いては誰もハッキリしたことを知ったものがない。というのは、彼女は内部の人々にさえ決して足を見せたことがなく、楽屋風呂へも一人でなければ這入らないのだそうである。だから何かしら足に故障があるに違いないけれども、どう云う故障だかよく分らない。たゞ彼女と一番仲のいゝ女優があって、その女の話として伝っているところでは、後にも先にもたった一遍一緒に入浴した時にチラと見たのだが、右の足だか左の足だかの趾が、一本か二本なくなっているのだという。そうしてそんなことが仲間うちへ知れ渡ってから、誰云うとなく、彼女は梅毒の上に天刑病らしいという説がひろまった。それで自然あれだけの器量を持ちながら、自分も人に接することを喜ばないし、男優共も近寄る者がないと云うのである。
「ほんとうだかどうか分りませんがね、みんな何となく気味悪がって誰も相手にしないんですよ。」
と或る俳優は記者に云った。
「でも、皮膚の色が透かしてみると紫色に光っているとか、いやにテラテラしているとか云うようなことがあるのかね。」
「そんなことはありません。色は真っ白で、肌理は細かで、たゞ見たゞけでは綺麗なもんです。