Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しょうねん

潤一郎ラビリンスI――初期短編集

谷崎 潤一郎

Lisez 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 319 caractères · 84 écrans

Aozora Bunko

丁度四月五日のことで、私は水天宮の縁日へ行くと詐って家を跳び出し、暗くなった時分に表門から西洋館の玄関へ忍び込み、光子が鍵を盗んで仙吉と一緒にやって来るのを待ち合わせる。但し私が時刻に遅れるようであったら、二人は一と足先に這入って、二階の階段を昇り切った所から二つ目の右側の部屋に待って居る、と、斯う云う約束になった。

「よし、そうきまったら赦して上げます。さあお起きなさい」

と、仙吉は漸くの事で手を放した。

「あゝ苦しかった。仙吉に腰をかけられたら、まるで息が出来ないんだもの。頭の下に大きな石があって痛かったわ」

着物の埃を拂って起き上った光子は、体の節々を揉んで、上気せたように頬や眼球を真紅にして居る。

「だが一体二階にはどんな物があるんだい」

一旦家へ帰るとなって、別れる時私はこう尋ねた。

「栄ちゃん、吃驚しちゃいけないよ。其りゃ面白いものが沢山あるんだから」

こう云って、光子は笑いながら奥へ駈け込んで了った。

戸外へ出ると、もうそろ/\人形町通りの露店にかんてらがともされて、撃剣の見せ物の法螺の貝がぶう/\と夕暮れの空に鳴り渡り、有馬様のお屋敷前は黒山のように人だかりがして、売薬屋が女の胎内を見せた人形を指しながら、何か頻りと声高に説明して居る。