Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しょうねん

潤一郎ラビリンスI――初期短編集

谷崎 潤一郎

Lisez 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 319 caractères · 84 écrans

Aozora Bunko

本人の顔は皆目袋の中へ隠れて、身にはけば/\しい友禅の振袖を着、足に白足袋を穿いては居るものゝ、折り/\かざす踊りの手振りに、緋の袖口から男らしい頑丈な手頸が露われて、節くれ立った褐色の五本の指が殊に目立ちます。風船玉の女の首は、風のまにまにふわ/\と飛んで、岸近い家の軒を窺ったり、擦れ違いさまに向うの船の船頭の頭を掠めたり、その度毎に陸上では目を欹て、見物人は手を打って笑いどよめきます。

あれ/\と云ううちに、船は厩橋の方へ進んで来ました。橋の上には真っ黒に人がたかり、黄色い顔がずらりと列んで、眼下に迫って来る船中の模様を眺めて居ります。だん/\近づくに随い、ろくろ首の目鼻はあり/\と空中に描き出され、泣いて居るような、笑って居るような、眠って居るような、何とも云えぬ飄逸な表情に、見物人は又可笑しさに誘われます。兎角するうち、舳が橋の蔭へ這入ると、首は水嵩の増した水面から、見物人の顔近くする/\と欄干に軽く擦れて、其のまゝ船に曳かれて折れかゞまり、橋桁の底をなよ/\と這って、今度は向う側の青空へ、ふわり、と浮かび上がりました。

駒形堂の前まで来ると、もう吾妻橋の通行人が遥かに此れを認めて、さながら凱旋の軍隊を歓迎するように待ち構えて居る様子が、船の中からもよく見えます。