Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しょうねん

潤一郎ラビリンスI――初期短編集

谷崎 潤一郎

Lisez 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 319 caractères · 84 écrans

Aozora Bunko

「彼奴もあれで可愛い奴さ。」

と、始めの二三度は清く金を出してやった連中も、あまり度重なるので遂には腹を立てゝ、

「桜井にも呆れたものだ。あゝずぼらじゃあ手が附けられない。あんな質の悪い奴じゃなかったんだが、今度無心に来やがったら、うんと怒り附けてやろう。」

こう思っては見るものゝ、さて本人に顔を合わせると、何処となく哀れっぽい処があって、とても強いことは云えなくなり、

「また此の次に埋め合わせをするから、今日は見逃して貰いたいね。」

ぐらいな所で追い拂おうとするのですが、

「まあ頼むからそう云わないで、借してくれ給え。ナニ直き返すから好いじゃないか。後生お願い! 全く後生御願いなんだ。」

と、うるさく附き纒って頼むので、大概の者は根負けをして了います。

主人の榊原も見るに見かね、

「時々己が伴れて行ってやるから、あんまり人に迷惑を掛けないようにしたらどうだ。」

こう云って、三度に一度は馴染の待合へ供をさせると、其の時ばかりは別人の様にイソイソ立働いて、忠勤を抽んでます。商売上の心配事で気がくさ/\する時は、此の男と酒でも飲みながら、罪のない顔を見て居るのが、何より薬なので、主人もしげ/\供に伴れて行きます。