Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Lisez 澪標・落日の光景 (みおつくし) de 外村 繁 (とのむらしげる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 889 caractères · 268 écrans
「お祖母さんたら、そんなこと言って、目ばかりぱちぱちやってんのよ。でも、不思議ですわね」と、栄子はその話を結んだ。
不意に、悲しみが込み上げてきた。それにしても、妻は、妻の霊はこんな私の姿をも宿して行ってくれたのか。
「許してくれよ」
しかし私は泣きはしなかった。愚かな私は以前から、この期に臨んでの、しどろもどろの振舞を恐れていたのだが、不思議なほど涙は出なかった。しかしこのとき以来、瞼の奥に、譬えば涙ぶくろとでもいった、鈍い重みを持った袋のようなものが出来た感じで、もし一度この袋が破れでもしたら、最早涙は際限ないのではないかとも思われた。
が、葬式というものは、どこか白々しいところのあるものだ。妻の遺骸は、紙花や、電気蝋燭に飾られた祭壇の上に乗せられ、なんだか私の手の届かない所にいるようだ。保木からは八木下夫妻(妻は幼いとき養女に行った、その養家の相続者)が来、翌朝には郷里から私の老母も到着した。
私は別になんということなく、朝から酒ばかり飲んでいた。ほっ、ほっと、まるでラジオ時報の前ぶれのような、いかにも痛みに堪えかねた、妻の泣き声が、ふと耳の底に聞こえたり、思わずそれを胸の中で繰り返したり、ひどく時間を間違えたりした。