Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かせいのうんが
火星の運河
江戸川 乱歩
Lisez 火星の運河 (かせいのうんが) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 715 caractères · 10 écrans
万花鏡を一転して、ふと幻怪な花を発見した感じである。併し、そこには万花鏡の様な華かな色彩がある訳ではなく、空も森も水も、空はこの世のものならぬいぶし銀、森は黒ずんだ緑と茶、そして水は、それらの単調な色どりを映しているに過ぎないのだ。それにも拘らず、この美しさは何物の業であろう。銀鼠の空の色か、巨大な蜘蛛が今獲ものをめがけて飛びかかろうとしている様な、奇怪なる樹木達の枝ぶりか、固体の様におし黙って、無限の底に空を映した沼の景色か、それもそうだ。併しもっと外にある。えたいの知れぬものがある。
音もなく、匂いもなく、肌触りさえない世界の故か。そして、それらの聴覚、嗅覚、触覚が、たった一つの視覚に集められている為か、それもそうだ。併しもっと外にある。空も森も水も、何者かを待ち望んで、ハチ切れ相に見えるではないか。彼等の貪婪極りなき慾情が、いぶきとなってふき出しているのではないか。併しそれが、何故なればかくも私の心をそそるのか。
私は何気なく、眼を外界から私自身の、いぶかしくも裸の身体に移した。そして、そこに、男のではなくて、豊満なる乙女の肉体を見出した時、私が男であったことをうち忘れて、さも当然の様にほほえんだ。