Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lisez 灰色の記憶 (はいいろのきおく) de 久坂 葉子 (くさかようこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 65 588 caractères · 132 écrans

Aozora Bunko

母と私はトラックにのって夕刻又神戸へ引かえした。焼土はまだくすぼっていた。父は執事や叔父達と其処で後始末の打合せをしていた。金庫が一つ横だおれになっていた。ピアノの鉄の棒が、ぐんにゃりまがって細い鉄線がぶつぶつ切れになっていたし、電蓄も、電蓄だと解らぬ位に残骸のみにくさを呈していた。本の頁が、風がふく毎に、ばらばらくずれて行った。私は何の感傷もなくそれ等の物体の不完全燃焼を眺めた。その日から、本家の邸に移り住むことになった。郊外の堂々とした石壁の家であり、本家の伯父は、祖母の疎開先へいれ代りに移った。

そこで私達は、父の妹の未亡人と、その娘、息子と、遠い親類の焼出され家族七人と、混雑した生活を送るようになった。

朝弁当を持って出ると、級友の罹災調べや、学校との連絡や、もうすっかりやけた工場は自然立消えになっていたので、その時の給料の配布や、日中はそんなことをしていそがしい時を送った。用務以外の時は、友達と話ばかりをしていた。親しい友達といっても、心の底から打ちとけて喋ることの出来ない私は、絶えず自分をポーズさせて本当のことは云わなかった。いり豆の鑵をそばに置いて、寝ころびながらsexの話に戦争も時代も忘却したこともある。