Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lisez 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 705 caractères · 173 écrans

Aozora Bunko

」

言いながら、さっと手早く頭巾を上げて、すぐに下ろした。初めて出羽守の顔をちらと見た千浪――そこに何を見たのか。

「あ、お許しなされて!」

叫ぶように言うなり、早くも彼女は、高い所から暗黒の中へ墜落して行くような気がして、もう、気を失いかけたのだった。

ちょうどこの時刻。

日本橋を神田のほうへ渡って、魚市場へ曲がろうとする角のところに、やくざ浪人とも見ゆる一団の武士達が、わいわい言いながら、あちこち見廻わして集まっていた。さっきそこまで一緒に来た主人を見失った山路主計、中之郷東馬、川島与七郎、北伝八郎など、出羽守側近の面々である。

通りがかりの群集のなかへ、それぞれ眼を走らせながら、北伝八郎が、

「さっき、あの高札場のところまでは、先に立って歩いておられたのだが――。」

川島与七郎は、故法外先生に斬られた手はすっかり癒ったものの、両手の指が十本全部ないので、何があっても刀を抜くこともできない身体である。いつも懐手をして、傍観の役目なのだが、今も、両手を深く懐中へ押し込んだまま、

「しかし、人目につかれる服装をしておられるのだから、見失うというはずはない。