Classiques japonais avec furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lisez 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 705 caractères · 173 écrans
あっと群集は驚きの声を揚げたが、中の千浪は、声一つ立てない。と思う間に、大次はつぎつぎに刀を抜き放って、今度は反対側の横からずぶり! また第三の刀は篤龍の屋根からまっすぐにと、一つは棒鼻の下から駕籠を縦に串ざしに、刺し通す。見る間に四、五本の刀が、あらゆる角度から駕籠に刺さって、横に斜めに、何本もの斬尖が、反対側へ突き出ているのだ。中の女は、ひとたまりもなく一寸刻みに刺されたであろう、見物は声を呑み、顔色を変えて凝視めている。
「そう驚くことはない。これからが大変なのだ。」
と笑った大次郎、
「この刀は、すべて触れば斬れる逸物揃い、証拠のために。」
とまた、刀の束から二本とって、刀身をかちかちと打ち合わせて見たかと思うと、
「ええいっ!」
と裂くような一声。また一本を上から駕籠へ突き刺した。同時に、
「や!」
とまた今度は、駕籠の背後から、中の女の背を突き通すように、柄元まで駕籠へ刺し込む。
群集のある者は、もう眼を掩っている。
気の弱い女などは前にいたのが、そろそろと背後へ引っ込んで行く。
見る間にその三十本の刀全部が、前後左右と上から、柄まで駕籠へ刺されて、駕籠はまるで、栗のいがのよう――。