Classiques japonais avec furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lisez 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 705 caractères · 173 écrans
た。
あいかわらず、江上は――身が軽い――それにしても、あの風体で、今はどこで何をしているのか――大次郎は、苦笑を洩らしながら、
「文珠屋どのと言ったな。また七年後に、このうえの三国ヶ嶽で会おう。」
下へ向って、大きく叫んだ。
山彦の答えに混じって、佐吉の声が、かすかに上って来た。
「なあに、それまでに、今度は江戸で会わあ。娘は預けとくぜ。」
「お知り合いの方なのでございますか。」
「ふふん。」と大次郎は、遙か眼下の沢へ笑って、千浪へ、「いや、なんでもござらぬ。先刻追うて来る途中、ちょっと道で逢うただけのことで――それより、先生が心配でござる。だいぶん重傷のようでしたが――さ、急ぎましょう。」
二人は、手を取り合って、上の阿弥陀沢へ引っかえした。
不覚にも、女髪兼安が手近になかったためか、そして、出羽の刀が四足の血に滑っていたせいか、法外先生の傷は、思ったより深かった。
法外流を編みだした練塀小路の老先生が、あんなことで肩を割りつけられるようなことはないのだけれど――物の機みとでも言うのだろうか。
金創に霊験あるはずの猿の湯も、法外先生の傷にはきかなかった。