Classiques japonais avec furigana
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ぎゅうにくとばれいしょ
牛肉と馬鈴薯・酒中日記
国木田 独歩
Lisez 牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (ぎゅうにくとばれいしょ) de 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 54 018 caractères · 109 écrans
と軍曹酒気を吐いて「お茶を一ぱい頂戴」
「今入れているじゃありませんか、性急ない児だ」と母は湯呑に充満注いでやって自分の居ることは、最早忘れたかのよう。二階から大声で、
「大塚、大塚!」
「貴所下りてお出でなさいよ」と母が呼ぶ。大塚軍曹は上を向いて、
「お光さん、お光さん!」
外所は豆腐屋の売声高く夕暮近い往来の気勢。とてもこの様子ではと自分は急に起て帰ろうとすると、母は柔和い声で、
「最早お帰りかえ。まア可いじゃアないか。そんなら又お来でよ」と軍曹の前を作ろった。
外へ出たが直ぐ帰えることも出来ず、さりとて人に相談すべき事ではなく、身に降りかかった災難を今更の如く悲しんで、気抜けした人のように当もなく歩いて溜池の傍まで来た。
全たく思案に暮れたが、然し何とか思案を定めなければならぬ。日は暮れかかり夕飯時になったけれど何を食うとも思わない。
ふと山王台の森に烏の群れ集まるのを見て、暫く彼処のベンチに倚って静かに工夫しようと日吉橋を渡った。
哀れ気の毒な先生! 「見すぼらしげな後影」と言いたくなる。酒、酒、何であの時、蕎麦屋にでも飛込んで、景気よく一二本も倒さなかったのだろう。