Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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こぶ

犬田卯短編集 一

犬田 卯

Lisez 犬田卯短編集 一 (こぶ) de 犬田 卯 (いぬたしげる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 48 259 caractères · 96 écrans

Aozora Bunko

「なアに、おさよをやるからいいんですよ。この忙しいのに、わざわざ行ってもらわなくても……」

「でも、俺、はア、仕事から上って来たんだから……」

「でも、いいんですよ。やるときはおさよをやるから。」

おせきはまだ決心がつかなかったのだ。若者はそれと察して、行くんなら何時でも行ってやるから……と繰返して言って遠慮がちに出て行った。

入り代りに、裏の家の女房が、夕飯の支度に野良から上って来たといって立ち寄らなかったら、おせきの決心はまだまだつかなかったであろう。自分の子供を二人も疫痢で亡くしているこの女房は、ヨシ子の容態を一目で見てとった。

「まア、おせきさん、早く、お医者さん頼んで来なくてや……」

そこでおせきもびっくりして、おさよを呼んだ。と、横あいから「俺行ってくる」と叫んで飛び出したのは勝であった。彼は母親のかえったのを幸い、自分もこっそり仕事を放ったらかして家へ戻っていたのだが、今まで、叱られると思って、納屋の方にかくれていたのである。

「あれ、この野郎、いつの間にかえった。」おせきは顔を尖らしたが、叱りつけている暇はなかった。「汝らに分るか、この薄馬鹿野郎。