Classiques japonais avec furigana
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こぶ
犬田卯短編集 一
犬田 卯
Lisez 犬田卯短編集 一 (こぶ) de 犬田 卯 (いぬたしげる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 48 259 caractères · 96 écrans
と訊ねても、「いまにかえって来べえで……」と答えたばかりであったのだ。医者が帰ったあと、おさよがごそごそ台所で準備した夕飯を、おせきも子供らといっしょに食べ終ったが、それでも浩平はかえらない。
「お父は、組合さ行ったきりかい」とおせきが、そろそろ苛々しい気持になって、改めて由次にきくと、
「だもんか。野良から上りに、またどこかへ廻って行ったんだ。俺こと、さきにかえれなんて言って。」由次はぷすんとしている。
「馬鹿親父め、こんな騒ぎしていんのに……暢気な畜生で、しようねえ。」
おせきはぶつぶつと呟きながら、いったん出した浩平のお膳を戸棚の中へ突っ込んでしまった。
浩平はみんなが寝床についてから、のそりとかえって来た。とうとう塚屋の前にかぶとを脱いでしまった。――いや、脱がせられてしまった何とも名状しがたいいやな後味が、にがっぽく頭の中にこびりついていて、物をも言わず、彼は自分のお膳をひっぱり出し、ぼそぼそと冷たい麦飯を咽喉へ押し込んだ。
五
翌くる朝、ヨシ子はもうすっかり快くなって、起きるなり食べものをねだり、満腹すると歌などうたい出した。「五万何把の藁束分けて、隠れんぼどこかと探チてまわる。