Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

Lisez 狂い凧 (くるいだこ) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 111 430 caractères · 226 écrans

Aozora Bunko

時々威勢のいいかけ声が入る。子供の彼は、母親や兄の竜介、弟の城介と共に、縁側の新しいゴザを前にして待っている。父の福次郎はまだ元気がよくて、上半身を裸にしたまま、つき手になったり、こね手に廻ったりした。栄介は子供心に、つく方が力が要るが、こねる方がむつかしいだろうな、と思いながら眺めていた。こねる方は、手を引っ込めるタイミングをあやまると、杵で打たれるおそれがあったからだ。だから福次郎がこね手に廻ると、栄介ははらはらして、手の握り拳が固くなった。彼は父親を愛し、また尊敬していた。

(あの頃がおやじにとって、一番幸福な時期じゃなかったのかな。そしてこのおれたちも――)

庭先で餅をつくというのは、別段栄介の家が裕福であったためではない。その地方の風習であり、また賃餅屋なんてあまり見当らない時代であった。たいていの家には臼や杵が備えてあり、ない家は親戚や近隣から借りて使用した。万事のんびりしていた時代で、人手が足りないということはなかったし、また自宅で餅をつくのは行事の一つで、倹約の精神にもかなうことであった。つくのも、こねるのも、丸めるのも、おおむね身内だけで行うので、特別に日当を払う必要はない。