Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どくしん

独身

森 鴎外

Lisez 独身 (どくしん) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 012 caractères · 19 écrans

Aozora Bunko

十時頃に下女が茶を入れて持って来て、どうもひどい晩でございますねというような事を言って、暫くもじもじしていた。宮沢は自分が寂しくてたまらないので、下女もさぞ寂しかろうと思い遣って、どうだね、針為事をこっちへ持って来ては、己は構わないからと云ったそうだ。そうすると下女が喜んで縫物を持って来て、部屋の隅の方で小さくなって為事をし始めた。それからは下女が、もうお客様もございますまいねと云って、おりおり縫物を持って、宮沢の部屋へ来るようになったのだ。」

富田は笑い出した。「戸川君。君は小説家だね。なかなか旨い。」

戸川も笑って頭を掻いた。「いや。実は宮沢が後悔して、僕にあんまり精しく話したもんだから、僕の話もつい精しくなったのだ。跡は端折って話すよ。しかしも一つ具体的に話したい事がある。それはこうなのだ。下女がある晩、お休なさいと云って、隣の間へ引き下がってから、宮沢が寐られないでいると、壁を隔てて下女が溜息をしては寝返りをするのが聞える。暫く聞いていると、その溜息が段々大きくなって、苦痛のために呻吟するというような風になったそうだ。そこで宮沢がつい、どうかしたのかいと云った。