Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たぬきいし

狸石

豊島 与志雄

Lisez 狸石 (たぬきいし) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 468 caractères · 7 écrans

Aozora Bunko

ところが、或る夜、淡い上弦の月が西空に傾いてる頃、その焼跡に、青白い火がどろどろと燃えて、狸石のほとりにぼーっと明るみを投げ、人の姿を浮き出さした。背の高い痩せた蓬髪の男で、狸石の肩のところに両腕でもたれかかり、腕に顔を伏せている。泥酔しているのか泣き悲しんでいるのか、どちらとも分らない。ただ異様なのは、着流しの和服らしいその裾からはみ出している片足が、血まみれになっていた。

男――ああ、ようやく辿りついた。お前は、よく待っていてくれたね。もうどっかへ行ってしまったかも知れないと、まさかそんなこともあるまいとは思いながら、びくびくしていたが、ここにいてくれてよかった。これで安心だ。何物も恐れないぞ。だが、若しかった。僕の足を見てくれ、血だらけだ。駆けつけて来たんだぜ。煉瓦やコンクリートの破片に躓くし、穴ぼこに落ちこむし、茨に引っ掻かれるし、何度ぶっ倒れたか知れない。それでも、お前がここにいてくれたんでまあよかった。おい、何とか言えよ。

男――もっとも、お前がどっかへ行ってしまうこともあるまいと、僕は思ってはいたさ。ほんとは、お前を買い取って家の庭に据えたかったんだ。