Classiques japonais avec furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lisez 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 020 caractères · 131 écrans
「痛い! 何をするねん!」
「あんた、いつかてリリーに引っ掻かれて、生傷絶やしたことないのんに、わてが抓ったら痛いのんか。」
「痛! ええい、止めんかいな!」
「これぐらい何だんね、猫に掻かすぐらいやったら、わてかて体じゅう引っ掻いたるわ!」
「痛、痛、痛、………」
庄造は、自分も急に起き直って防禦の姿勢を取りながら、続けざまに叫んだ。二階の年寄に聞かせたくないので、大きな声は立てなかったが、抓るかと思うと今度は引っ掻く。顔、肩、胸、腕、腿、所嫌わず攻めて来るので、慌てて避ける度毎にバタン! と云う地響きが家じゅうへ伝わる。
「どないや?」
「もう堪忍、………堪忍!」
「眼エ覚めなはったか?」
「覚めいでかいな! ああ痛、ヒリヒリするわ。………」
「そしたら、今のこと返事しなさい、孰方だす?」
「ああ痛、………」
それには答えないで、顔をしかめながら方々をさすっていると、
「又だっか、胡麻化したらこれだっせ!」
と、二三本の指でモロに頬っぺたをがりッと行かれたのが、飛び上るほど痛かったらしく、思わず、
「いたア―――」
と泣き声を出したが、途端にリリーまでがびっくりして、蚊帳の外へ逃げ出して行った。