Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

Lisez 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 020 caractères · 131 écrans

Aozora Bunko

まあ、ほんとうに、何と云う剛情な猫であろう。こんな工合で、いつになったら懐く時があるであろう。だが事に依ると、わざとああ云う風をして、此方の油断を見すましているのではないか。今はああして、あきらめたようにしているけれども、重い板戸をさえ開ける猫であるから、うっかり部屋を留守にしたら、その間にいなくなってしまうのではないか。そう思うと彼女は、他人のことよりも自分自身が、御飯を食べに行くことも厠へ立つことも出来ないのであった。

お午になって、妹の初子が

「姉さん、御飯」

と、段梯子の下から声をかけると、

「はい」

と品子は立ち上りながら、暫く部屋の中をうろうろした。そして結局、メリンスの腰紐を三本つないで、リリーの肩から腋の下へ、十文字に襷をかけて、強く緊め過ぎないように、そうかと云ってスッポリ抜けられないように、何度も念を入れて締め直して、背中でしっかり結び玉を作った。それからその紐のもう一方の端を持って、又ひとしきりうろうろしていたが、とうとう天井から下っている電燈のコードに括り着けると、やっと安心して階下へ降りた。が、食事の間も気にかかるので、そこそこにして上って来てみると、縛られたまま矢張隅ッこの方へ行って、前よりもなお体をちぢめているではないか。