Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ねこまち
猫町 他十七篇
萩原 朔太郎
Lisez 猫町 他十七篇 (ねこまち) de 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 483 caractères · 58 écrans
時として私は、単にその楽しみだけで停車場へ行き、三時間もぼんやり坐っていることがある。それが自分の家では、一時間も退屈でいることが出来ないのだ。ポオの或る小説の中に、終日群集の中を歩き廻ることのほか、心の落着きを得られない不幸な男の話が出ているが、私にはその心理がよく解るように思われる。私の故郷の町にいた竹という乞食は、実家が相当な暮しをしている農家の一人息子でありながら、家を飛び出して乞食をしている。巡査が捕えて田舎の家に送り帰すと、すぐまた逃げて町へ帰り、終日賑やかな往来を歩いているのである。
秋の日の晴れ渡った空を見ると、私の心に不思議なノスタルジアが起って来る。何処とも知れず、見知らぬ町へ旅をしてみたくなるのである。しかし前にいう通り、私は汽車の時間表を調べたり、荷物を造ったりすることが出来ないので、いつも旅への誘いが、心のイメージの中で消えてしまう。だが時としては、そうした面倒のない手軽の旅に出かけて行く。即ち東京地図を懐中にして、本所深川の知らない町や、浅草、麻布、赤坂などの隠れた裏町を探して歩く。特に武蔵野の平野を縦横に貫通している、様々な私設線の電車に乗って、沿線の新開町を見に行くのが、不思議に物珍らしく楽しみである。