Classiques japonais avec furigana
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うりのなみだ
瓜の涙
泉 鏡花
Lisez 瓜の涙 (うりのなみだ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 247 caractères · 21 écrans
真昼の緋桃も、その娘の姿に露の濡色を見せて、髪にも、髻にも影さす中に、その瓜実顔を少く傾けて、陽炎を透かして、峰の松を仰いでいた。
謹三は、ハッと後退りに退った。――杉垣の破目へ引込むのに、かさかさと帯の鳴るのが浅間しかったのである。
気咎めに、二日ばかり、手繰り寄せらるる思いをしながら、あえて行くのを憚ったが――また不思議に北国にも日和が続いた――三日めの同じ頃、魂がふッと墓を抜けて出ると、向うの桃に影もない。……
勿体なくも、路々拝んだ仏神の御名を忘れようとした処へ――花の梢が、低く靉靆く……藁屋はずれに黒髪が見え、すらりと肩が浮いて、俯向いて出たその娘が、桃に立ちざまに、目を涼しく、と小戻をしようとして、幹がくれに密と覗いて、此方をば熟と視る時、俯目になった。
思わず、そのとき渠は蹲んだ、そして煙草を喫んだ形は、――ここに人待石の松蔭と同じである――
が、姿も見ないで、横を向きながら、二服とは喫みも得ないで、慌しげにまた立つと、精々落着いて其方に歩んだ。畠を、ややめぐり足に、近づいた時であった。
娘が、柔順に尋常に会釈して、
「誰方?……」