Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lisez 生々流転 (しょうじょうるてん) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 297 521 caractères · 586 écrans
町の東側を多那川から東京方面へ引いた運河が殆ど多那川と直角に南から北へ向って流れています。そしてこの東側に在る村から町へ入るところでこの枝川に架かるのが藍染橋。町中や遊郭は既に縄張りがあります。わたくしはその手の及ばない村中の地蔵堂にしばらくの仮りの住宅を定めました。とき/″\町の乞食の親方の眼を掠めて町中へあくがれ入ります。
地に臥し、土の香を嗅ぎ誰れ憚らずひろ/″\とした大空に月一つ仰ぎ渡すとき、謎になり唖になりしたわが身にも、何か心の底にうずくものがあります。歿き父をまことの父のいのちに生き蘇らせ、歿き母をまことの母のいのちに浮び上らせ、そのほか、わたくしの前身で、わたくしに順逆共に慕い寄りながら、その屈まれるいのちを伸ばし生かして欲しいとせがみ付いた男女もろ/\の縁者たちに対する悲愍の気持であります。だが、わたくしは、いま休息に踏出した第一歩のときです。まことの休息には、この期を休息と定めてかゝることすら、安らかな心の障りとなるのを知って、努めてその悲愍の気持を投げ捨てます。そして若しその気持が捨て去ったまゝ再び後になって戻って来るものなら戻っても来よ、戻らざれば、それも是非なしと、暗涙を催しながら思い切って徳の外に抛ってしまうのでした。