Classiques japonais avec furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lisez 生々流転 (しょうじょうるてん) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 297 521 caractères · 586 écrans
ほろ/\と肩に散りかゝる河岸の秋の名残りの柳。
堀川が十字路になって幾つかの小橋が四方に見渡せる地点まで来ると、わたくし達も一つの橋を渡りました。
「この橋は男ばしと言うのだよ。そして向うに見える橋は女ばし――」
池上は、だいぶ口がほぐれて来たと見え、こんなことをわたくしに喋りながら、中洲と呼ばれる向う岸の区域に入って行きました。
そこは、むかし大川の河口の三角洲があったのを埋立てた土地で、母の若い時分は芝居小屋があったり、楊弓店があったり、かなりな盛り場だったそうですが、今は全く普通の住家町になって、船つきに便利な為めか倉庫が多いようです。それに関係する運漕店や貿易会社の事務所が町家の中に混っています。
たゞ、大川に面した河岸側だけ、むかし三叉と言って夏の涼みや秋の月見の風雅な場所だったことを偲ばしめるように上品で瀟洒とした料理店が少し残っております。池上はその一つの菊廼家というのへ入って行きました。
「ちょうど川向きのお部屋が空いておりますが、少しお寒うございましょうか」
池上は「結構」と答えました。
広い座敷に、たった二人切り、床の間まえをやゝ川づらに近く食卓を据えて、川の夜景を障子の嵌硝子を透して、とき/″\眺めながら二人はぽつ/\箸を運びました。