Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いなかもの
田舎者
豊島 与志雄
Lisez 田舎者 (いなかもの) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 181 caractères · 26 écrans
どうして手に入れたか、依田賢造の名刺で、それをマダムに差出して、お勘定はこちらに……と、すまして、どやどやと、出て行ってしまったのである。マダムは顔色さえ変えず、いつものように、知的な顔に微笑を浮べて、そんなのをも迎え送るのだった。その虚心平気な態度を、岸本は感歎の念でまた見直すのだった。
ところが、或る晩、岸本が少々酔って、帰りかけると、扉の外に「若禿」がよっかかるようにして立っていた。童顔の頭が禿げかかって近眼鏡をかけてる、一寸胡散にも利口にも見える背広の中年の男で、いつも一人でやってくる常連のうちだったが、それが、先程からそこに立っていた様子をごまかそうともせず、ほほう……と岸本の顔を眺めて、丁度いいところで出逢ったから、一緒につきあってくれと、もう既に酒くさい息を吐きながら、岸本の肩をとらえて、バーの中へでなく、ほかの方へ引張っていくのだった。そして近くのおでん屋へ引張りこんで、一体あんたはマダムに惚れてるのかどうかと、突然尋ねだしたのである。岸本が言下に強く否定すると、彼は握手を求めて、あんたは正直だから信用してあげると、他愛なく笑ってしまうのだったが、暫くすると、ほんとに惚れていないのかと、またくり返すのだった。