Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いなかもの

田舎者

豊島 与志雄

Lisez 田舎者 (いなかもの) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 181 caractères · 26 écrans

Aozora Bunko

とり残された岸本とマダムとは、杯を手にしたまま眼を見合ったが、その時、一寸緊張したマダムの顔が、花弁のように美しく岸本の眼に映った。岸本は一息に杯を干したが、マダムは唇もつけないで、卓子の上に杯を戻して、もういたずらな笑みを含んだ眼付となっていた。

「まあ。」と卓子をとんと叩いて「ばかばかしいわね。何を二人で、たくらんでいらしたの。」

それが「若禿」に衝動を与えたらしかった。彼はひょいと頭をあげて、マダムが立去ってゆくのには眼もとめずに、岸本の顔をまじまじと見ていたが、長い手を延して、岸本の手をとって打振りながら、岸本へ向ってではあるが、酔っ払いの独語の調子で饒舌りだすのだった。

「僕は……ねえ君、僕は、たくらみだの、邪推だの、そんなことが、第一性に合わないんだ。だから、君の言葉を信ずる。愛すべき青年よ……愛すべき……彼女よ、マダムよ。彼女は純潔なり。ドラ鈴と、関係などあってたまるものか、僕が保証する。マダムは生活のために奮闘しているんだ。ブールジョア共には分らない。マダムは可愛いい娘のために働いているんだ。依田氏がそれを預って、育てていてやればこそ、マダムは後顧の憂いなく、こうして奮闘しているんだ。