Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いなかもの
田舎者
豊島 与志雄
Lisez 田舎者 (いなかもの) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 181 caractères · 26 écrans
それがきっかけで、誰か「ドラ鈴」になってはいってこい、俺がマダムになって、例のところを一芝居うとうというのである。そしてみんなの喝采のうちに、それでも誰も立上らないので、その向うの席に一人でぼんやり、卓子に肱をついてる岸本の方へ、眼を移してきた。
「あんた、学生はん、一役買うて……。」
云いかけて彼は口を噤んでしまった。かたりとコップで卓子を叩く音がして、彼がとまどった拍子に、ひょいと、右手をあげて、おどけた失敬をしてみせたとたん、コップがとんできた。彼の肩をかすめ、戸棚にぶつかり、大きな音を立てて、その息苦しい淀んだ空気の中に冷風を吹きこんだようで、砕け散った。
それが、誰にも――角刈の男自身にも――何のことやら分らないほんの一瞬間のことで、次の瞬間には、岸本は自分の卓子を離れて、そこらをのっそり歩きながら、静かな調子で云ってるのだった。
「つまらない邪推はやめ給えよ。マダムとあの人とは何の関係もない。僕がよく知っている。」
岸本と彼等とは、度々出逢って顔見識りの間ではあったが、そんな風に初めて口を利きあったのはおかしなことには違いなかった。そればかりでなく、コップの一件もすぐに忘れられて、角刈の男もこちらに出てきて、みんな一緒になって、本当にそうかと尋ねかけてくるのだった。