Classiques japonais avec furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lisez 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 507 caractères · 291 écrans
それが君たちに覚られなかったとすると、私はよほどのん気にみえる男なんでしょうね。」
山岸は又さびしく笑いながら語りつづけました。
「ところで、ことしの受験もあの通りの始末……。やはり白い髪の女に祟られたんですよ。かれは今年も依然として試験場にあらわれて、わたしの答案を妨害しました。言うまでもない事だが、試験場におけるわたしの席は毎年変っている。しかもかれは同じように、影の形に従うがごとくに、私の前にあらわれて来るのだから、どうしても避ける方法がない。わたしはこの幽霊――まず幽霊とでもいうのほかはありますまい。この幽霊のために再三再四妨害されて、実に腹が立ってたまらないので、もうこうなったら根くらべ意地くらべの決心で、来年も重ねて試験を受けようと思っていたところが、二、三日前に郷里の父から手紙が来て、今度こそはどうしても帰れというんです。この正月の約束があるから、わたしももう強情を張り通すわけにもいかないのと、もう一つ、わたしに強い衝動をあたえたのは、父の手紙にこういうことが書いてあるんです。たとい無理に試験を通過したところで、弁護士という職業を撰むことは、お前の将来に不幸をまねく基であるらしく思われるから、もう思い切って帰郷して、なにか他の職業を求めることにしろ。