Classiques japonais avec furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lisez 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 507 caractères · 291 écrans
裏通りへはいると、月のひかりは霜を帯びて、その明るい町のどこやらに犬の吠える声が遠くきこえました。
堀川の家の門をくぐると、わたしは果して驚かされました。わたしが四谷見附まで往復するあいだに、伊佐子さんは劇薬を飲んで死んでしまったのでした。山岸はまだ帰りません。その明き部屋へはいり込んで、伊佐子さんは自殺したのです。その帯のあいだには母にあてた一通の書置を忍ばせていて、「わたしは山岸という男に殺されました」と、簡単に記してあったそうです。奥さんもびっくりしたのですが、なにしろ劇薬を飲んで死んだのですから、そのままにしておくことは出来ません。わたしの帰ったときには、あたかも警察から係官が出張して臨検の最中でした。
猫の死んだ一件を女中がうっかりしゃべったので、帰るとすぐに私も調べられました。そこへあたかも山岸がふらりと帰ってきたので、これは一応の取調べぐらいではすみません、その場から警察へ引致されました。伊佐子さんは自殺に相違ないのですが、猫の一件があるのと、その書置に、「山岸という男に殺されました」などと書いてあるので、山岸はどうしても念入りの取調べを受けなければならないことになったのです。