Classiques japonais avec furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lisez 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 507 caractères · 291 écrans
ともかくも僕はすぐに帰郷することにして東京を出発した。ひと月前に妹を新橋駅に送った兄が、ひと月後にはその死を弔らうべく同じ汽車に乗るのだ。草市のこと、盆燈籠のこと、それらが今さら思い出されて、僕も感傷的の人とならざるを得なかった。
帰郷の途中はただ暑かったというだけで、別に話すほどのこともなかったが、その途中で僕が考えたのは「清がさぞおどろいて失望しているだろう。」ということだ。僕の実家は海産物の問屋で、まず相当に暮らしている。そのとなりの浜崎という家もやはり同商売で、これもまあ相当に店を張っている。浜崎と僕の家とは親戚関係になっていて、浜崎の息子と僕たちとは従弟同士になっているのだ。
浜崎のひとり息子の清というのは大阪の或る学校を卒業して、今は自分の家の商売をしている。清と美智子とは従弟同士の許婚といったようなわけで、美智子がAの女学校を卒業すると、浜崎の家へ嫁入りする筈になっているのは、すべての人が承認しているのだ。今度も新橋でわかれる時に、「清君によろしく。」と言ったら、美智子は少し紅い顔をしていた。美智子は帰郷して清に逢ったに相違ない。となり同士だからきっと逢っているに決まっている。