Classiques japonais avec furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lisez 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 507 caractères · 291 écrans
それを取返そうとしがみつくと、染吉ももうのぼせているので、持っている鏡で相手の額を力まかせに殴りつけた上に、池のなかへ突き落して逃げました。」
お照の額の疵は氷のためではなかった。たとい氷でないとしても、それが鏡のたぐいであろうとは、わたしも少しく意外であった。
「ただ突き落して逃げたのだね。」と、わたしは念を押した。
「染吉はそう言っているそうです。御承知の通り、岸の氷は厚いのですから、ただ突き落しただけでは溺死する筈はありません。まんなか辺まで引摺って行って突き落すか。それとも染吉が立去ったあとで、お照は水でも飲むつもりで真ん中まで這い出して行って、氷が薄いために思わず滑り込んだのか。あるいは大切な鏡を奪い取られたために、一途に悲観して自殺する気になったのか。それらの事情はよく判らないのですが、いずれにしても自分がお照を殺したも同然だといって、染吉は覚悟しているそうです。」
「覚悟している……。それでは自首するつもりかね。」
「それが困るのです。」と、野童は顔をしかめた。「自分でもそう覚悟をしていながら、やはり女の未練で、きょうも冬坡を寺の墓地へよび出して、これから一緒に北海道へ逃げてくれと頻りに口説いているのです。