Classiques japonais avec furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lisez 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 507 caractères · 291 écrans
「君も知っているだろうが、ここらじゃあ旧暦の盂蘭盆には海へ出ないことになっている。出るとかならず災難に遭うというのだ。一体どういうわけで、昔からそんなことを言い伝えているのか知らないが、おそらく盆中は内にいて、漁などの殺生を休めという意味で、誰かがそんなことを言いだしたのだろう。僕はそう思って、今まで別に気にも留めていなかった。ところで、美智子さんがこの夏ここへ帰って来てから、夜も昼も一緒に小舟に乗って、二人はたびたび海へ遊びに出ていたのだ。ねえ、君。別に珍らしいことはないだろう。」
「むむ。」と、僕はうなずいた。夏休みで帰郷した美智子は、さだめて清と舟遊びでもしているだろうと、僕はかねて想像していたのであるから、この話を聞いても別に怪しみもしなかった。
「そのうちに、今月の十七日が来た。十七日は旧暦の盂蘭盆に当るので、ここらでは商売を休んでいる家も随分あった。浜では盆踊りも流行っていた。その日は残暑の強い日だったが、日が暮れてから涼しい風がそよそよ吹いて来た。昼間から約束してあったので、夕飯をすませてから僕は美智子さんを誘い出して、いつものとおり小舟に乗って海へ出ようとすると、僕のうちの番頭――あの禿あたまの万兵衛が変な顔をして、今夜は盆の十五日だから海へ出るのはお止しなさいと言うのだ。