Classiques japonais avec furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lisez 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 507 caractères · 291 écrans
われわれが馬の介抱に気をとられて、夢中になって騒いでいるうちに、彼女は何処へか消え失せてしまったらしい。なぜ逃げたのか、なぜ隠れたのか、僕には勿論わからなかったが、青年は一種悲痛のような顔色をみせて舌打ちした。そうして、これからどうしょうかと思案しているらしかったが、やがて馭者にむかってきいた。
「どうだね。この馬はあるけるかね。」
「すこし休ませたら大丈夫だろうと思うが……。」と、馭者は考えながら言った。「だが、こいつもこのごろは馬鹿に足が弱くなったからね。」
再び乗り出して、また途中で倒れられては困ると僕は思った。青年もやはりその不安を感じたらしく、自分はいっそこれから歩くと言い出した。そうして、馭者と談判の結果、馬車賃の半額を取戻すことになった。まだ一里ほども来ないのに、半額では少し割が悪いと思ったが、これは災難で両損とあきらめるよりほかはない。僕も半額を受取って、カバンひとつを引っさげて歩き出すと、青年も一緒に列んで歩いて来た。こうなると僕も彼と道連れにならないわけには行かない。僕は歩きながら訊いた。
「あなたは何処までおいでです。」
「KBの村までまいります。