Classiques japonais avec furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lisez 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 507 caractères · 291 écrans
彼は白地の飛白の単衣を着て、麦わら帽子をかぶっていた。
かれも僕も顔を見合せると、同時に挨拶した。
「やあ。」
若い男は僕の町の薬屋のせがれで、福岡か熊本あたりで薬剤師の免状を取って来て、自分の店で調剤もしている。その名は市野弥吉といって、やはり僕と同年のはずだ。両親もまだ達者で、小僧をひとり使って、店は相当に繁昌しているらしい。僕の小学校友達で、子どもの時には一緒にこの川へ泳ぎに来たこともたびたびある。それでもお互いに年が長けて、たまたまこうして顔をあわせると、両方の挨拶も自然に行儀正しくなるものだ。ことに市野は客商売であるだけに如才がない。かれは丁寧に声をかけた。
「釣りですか。」
「はあ。しかしどうも釣れませんよ。」と、僕は笑いながら答えた。
「そうでしょう。」と、彼も笑った。「近年はだんだんに釣れなくなりましたよ。しかし夜釣りをやったら、鰻が釣れましょう。どうかすると、非常に大きい鱸が引っかかることもあるんですが……」
「すずきが相変らず釣れますか。退屈しのぎに来たのだからどうでもいいようなものの、やっぱり釣れないと面白くありませんね。」
「そりゃそうですとも……。