Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くじょしょうろく

痀女抄録

矢田 津世子

Lisez 痀女抄録 (くじょしょうろく) de 矢田 津世子 (やだつせこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 32 578 caractères · 65 écrans

Aozora Bunko

「あなたの気持ちを訊いてみてから決めるのが本当だが、どうも、あれが気が急くとみえて、独り合点で、親元のほうへも、もう手紙を出したとか言っていますが」

と、師匠は言った。

「自分としては良縁だと思っているし、それに何よりも、銀三だったら、あなたを大切にしてくれるだろうと思う。しかし、これを強いて、あなたに勧める気持ちは無い。あなたが真に倖せに生きる道をどこに求めたらいいか、わたしも考えてみたが……まだ、いまは銀三の心をお伝えする役目しかつとまりません」

こう言って、師匠は膝に眼をおとした。

急に寿女が座を立った。息をせいせい言わせて勝手口へ走って行った。

師匠も続いて座を立ったが、敷居のところに立ちつくしたままでいた。

暗い路地にしゃがみこんで、寿女は噎び泣いていた。

寿女が加福の家から暇をもらったのは、それから間もなくであった。常から腎臓を患っていた母親が、この日頃、とかく勝れず牀に臥しがちである。そのことを申し訳の言い草にしていた。母親の看取りから頼まれた賃仕事、店の事一切までを寿女は小まめに取りしきった。じっと手を休めていることが無く、始終忙しく何かしていた。