Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くじょしょうろく

痀女抄録

矢田 津世子

Lisez 痀女抄録 (くじょしょうろく) de 矢田 津世子 (やだつせこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 32 578 caractères · 65 écrans

Aozora Bunko

いや、尾久とは方角違いだしなあ。此処を出たのが五日で、七日の朝に病院へ運んだっていうんだから、まあ、まる二日外にうろうろしていたわけなんだなあ」

中尾は自分で茶を淹れて、熱いのをふうふう吹きながら上眼で龍子を見て言った。

「どうです、先生、出かけますか? まだ、死亡室に置いてありますがね」

龍子は不興気に頭を振った。

「これから、また、ひとっ走りして、運び出しに立会わなけあ」

窓硝子ごしに覗いて見て、「よく、降りやがる」

そして、濡れたレインコートをまたひっかけた。

「そうそう、妙な爺さんがいたっけが、あれあ尾久の家の人かい。こっちで、もの言っても黙りこくってるし、居眠りしてるかと思って覗くと、目玉をぎょろりと開けてるしさ、危く声出すとこだったよ。なんしろ、夜っぴて、爺さんと二人っきりでさ、火もないとこに無言の行だったからなあ」

ゴム靴の釦をはめている中尾の背へ、龍子は気弱く、

「恩に着るわよ」と声をかけた。

その夜、中尾がまた立寄った。

「万事済みましたよ、先生、尾久の兄さんという人がきて引き取って行きましたがね。……どうも、あのお寿女さんて妙な娘だったなあ。