Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lisez 痴人の愛 (ちじんのあい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 179 399 caractères · 353 écrans
彼女は鎌倉の宿の方へ、マントや靴を持って来てはいないのですから、それは誰かの借り物に違いありません。風が吹くのでマントの裾がぱたぱためくれそうになる、それを内側から両手でしっかり体へ巻きつけているらしく、歩く度毎にマントの中で大きな臀が円くむっくりと動きます。そして彼女は酔っ払いのような歩調で、両方の肩を左右の男に打ッつけながら、わざとよろけて行くのでした。
それまでじっと小さくなって息をこらしていた私は、彼等との距離が半町ぐらい隔たって、白い浴衣が遠くの方にほんのちらちら見える時分、始めて立ち上ってそっとその跡を追いました。最初彼等は、海岸を真っすぐに、材木座の方へ行くのだろうかと思われましたが、中途でだんだん左へ曲って、街の方へ出る沙山を越えたようでした。彼等の姿が、その沙山の向うへ隠れきってしまうと、私は急に全速力で山へ駈け上り始めました。なぜなら私は、ちょうど彼等の出る路が、松林の多い、身を隠すのに究竟な物蔭のある、暗い別荘街であるのを知っていたので、そこならもっと傍へ寄っても、多分彼等に発見される恐れはないと思ったからです。
降りると忽ち、彼等の陽気な唄声が私の耳朶を打ちました。