Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lisez 痴人の愛 (ちじんのあい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 179 399 caractères · 353 écrans

Aozora Bunko

ふん、とうとう一日引っ込んでいたか。だがそれにしてもイヤに様子が静かなのはどうしたんだろう、どんな顔つきをしているだろうと、まだ幾分胸騒ぎに駆られながら、私はそっと縁側へ上り、離れの障子を明けました。と、もう夕方の六時が少し廻った時分で、明りのとどかない部屋の奥の隅の方に、ナオミはだらしない恰好をして、ふん反り返ってぐうぐう眠っているのでした。蚊に喰われるので、彼方へ転がり此方へ転がりしたものでしょう、私のクレバネットを出して腰の周りを包んではいましたが、それで器用に隠されているのはほんの下っ腹のところだけで、紅いちぢみのガウンから真っ白い手足が、湯立ったキャベツの茎のように浮き出ているのが、そう云う時には又運悪く、変に蠱惑的に私の心を掻きりました。私は黙って電燈をつけ、独りでさっさと和服に着換え、押入れの戸をわざとガタピシ云わせましたけれど、それを知ってか知らないでか、ナオミの寝息はまだすやすやと聞えました。

「おい、起きないか、夜じゃないか。………」

三十分ばかり、用もないのに机に靠れて、手紙をかくような風を装っていた私は、とうとう根負けがしてしまって声をかけました。